デフォルトのエンドユーザーモニタリングのデプロイでは、EUMエージェント(モバイルおよびブラウザ)がクラウドベースのプロセッサであるEUMクラウドにデータを送信することを前提としています。オンプレミスでEUMを完全にデプロイするには、ここで説明するEUMクラウドのオンプレミスバージョンである、EUMサーバーをインストールする必要があります。

インストール概要

EUM サーバーは、EUM エージェントからデータを受信し、そのデータを処理して格納し、AppDynamics コントローラで使用できるようにします。特定の EUM 機能、特にブラウザ リクエスト アナリティクスおよびモバイル リクエスト アナリティクス、ブラウザおよびモバイル分析の機能を拡張するアプリケーション アナリティクスの機能では、AppDynamics のイベントサービスへのアクセスが必要です。 

そのため、オンプレミスEUMサーバーのデプロイを完全に設定するには、以下が必要になります。

  1. 他のプラットフォーム コンポーネントと互換性のある EUM サーバーバージョンを確認します。
  2. オンプレミスコントローラをインストールするか、EUM サーバーとともに動作するインサービスコントローラを準備します
  3. オンプレミスのイベントサービスのデプロイをインストールして、オンプレミスコントローラとともに動作するように構成します。
  4. オンプレミスEUMサーバーをインストールして、イベントサービスやコントローラとともに動作するように構成します。

EUM サーバーのデプロイモード

デモおよびライトテストでは、デモインストールオプションを選択します。このオプションでは、EUM サーバーとコントローラが同じホストにインストールされ、EUM サーバーがコントローラの MySQL インスタンスを共有します。実稼働インストールでは、実稼働インストールオプションを選択します。このオプションでは、EUM サーバーとコントローラは別のホストに配置され、EUM サーバーは専用の MySQL インスタンスをホストします。

デモモードでは、EUM サーバーはポート 7001 または 7002 で接続をリスンします。セキュアポート 7002 では、組み込みの自己署名証明書を使用します。自己署名証明書はデモモードでのみ使用します。

Demo mode architecture 

実稼働環境では、EUMサーバーはリバースプロキシの背後で動作する可能性があります。リバースプロキシは、EUMサーバーからのSSL終了時のパフォーマンス負荷を軽減します。証明書管理とセキュリティ管理を全般的に簡素化するのにも役立ちます。また、サーバーには、エージェントビーコンの接続ポイントとして、サーバー自体と外部インターネットとの間にプロキシのセキュリティ層が存在している必要があります。

Production environment architecture

(info)オンプレミスEUMサーバーのHTTPS接続の設定には、リバースプロキシの使用を推奨します。これがご使用のインストールでは不可能な場合でも、HTTPサポートを手動で設定することができます。カスタムキーストアの設定方法については、「EUMサーバーの保護」を参照してください。

埋め込み型Geoサーバー

EUMサーバーには、地理情報を提供する埋め込み型Geoサーバーが含まれています。Geo サーバーはカスタム Geo サーバーから、または Neustar データやカスタム地理データを含む受信 IPv4 アドレス(IPv6 アドレスはサポート)を解決することにより、地理情報を取得します。 

新しい地理データの追加

新しい地理データを追加するには、新しい Neustar データファイルを追加するか、カスタム地理データファイル geo-ip-mappings.xml を作成してディレクトリ eum-processor/bin/ に配置します。EUMサーバーは新しい地理データファイルを自動的に検出し、読み込みます。

Geoサーバーの更新

Geo サーバーは、EUM サーバーの更新時に更新されます。 

独自のGeoサーバーのホスト

ブラウザRUM用カスタムGeoサーバーのインストールおよびホスト」に示された手順に従います。

コントローラバージョンの確認

EUM サーバーインストーラを実行するに、以下を行います。

  1. コントローラのバージョンを確認します。4.5 EUMサーバーはAppDynamicsコントローラバージョン4.5以前で動作します。コントローラは、同じバージョンまたはそれ以降のバージョン(これにはメジャー、マイナー、およびパッチバージョンが含まれます)の EUM サーバーで動作します。つまり、バージョン 4.5.2 のコントローラは、バージョン 4.5.2 以降の EUM サーバーでのみ動作します。しかし、バージョン 4.5.2 のコントローラは、バージョン 4.5.1 や 4.5.0 の EUM サーバーでは動作しません。プラットフォームのアップグレードに関する情報は、「実稼働EUMサーバーのアップグレード」を参照してください。 

    21.4.6.34822 以降の EUM サーバーバージョンは、コントローラバージョン 23.1.3 以降と互換性があります。

  2. コントローラの現在のバージョンをバックアップします。
  3. サービスの可用性に与える影響が最も少ない時間枠を選択します。

オンプレミスイベントサービスのインストール

ブラウザ RUM の分析機能とモバイル RUM のクラッシュレポートおよび分析コンポーネントは、プラットフォームの非構造化ドキュメントストアである AppDynamics イベントサービスに依存しています。デフォルトで EUM 用に構成されているイベントサービスは、クラウドベースのサービスです。  

オンプレミスで実行していて、すべての処理をオンプレミスで継続する場合は、コントローラをインストールして構成した後で、このセクションで説明するオンプレミスバージョンのイベントサービスをインストールする必要があります。純粋に EUM UI での使用のためだけにイベントサービスを必要とする場合、別個のアプリケーション分析のライセンスは不要です。他の使途には、別途ライセンスが必要になる場合があります


On-premise Events Service architecture

イベントサービスのデプロイには複数のモードがあります。イベントサービスのインストールと構成の詳細については、「イベントサービスのデプロイ」を参照してください。

EUMサーバーインストーラの実行

起動する前に、対象システムに適したインストーラバージョンを取得します。インストーラは https://accounts.appdynamics.com/downloads から入手できます。

コントローラのインストールに使用したものと同様の対象マシン上のユーザーアカウント、またはコントローラのホームディレクトリに対する読み取り、書き込み、および実行権限を持つアカウントを使用して、EUM インストーラを実行します。たとえばコントローラが root ユーザーによりインストールされる一方で、EUM サーバーのインストールを通常のユーザーで試みるなど、互換性のない権限レベルでインストールすると、インストールエラーまたは操作エラーの原因となります。 

EUMサーバーはWindowsサービスとして自動的にインストールされます。すべてのアップグレードは自動的に Windows サービスに変換されます。 

インストーラは以下の3つのモードで実行できます。

  • GUI
  • コンソール
  • サイレントモードで次を使用。 varfile

以下のページで、ご使用のデプロイモードに適したインストールの詳細を確認してください。

エージェントの更新

ご使用の構成に基づき、エージェントがビーコンを EUM サーバーに送信する際に使用するアドレスを更新する必要があります。ブラウザのリアルユーザーモニタリングの場合、コントローラは JavaScript エージェントを更新します。「ブラウザRUMのセットアップとアクセス」で説明するとおり、再ダウンロードしてデプロイするだけです。モバイル RUM の場合、モバイル SDK を使用してモバイルアプリケーション自体を更新する必要があります。詳細については、「Android インストゥルメンテーションのカスタマイズ」および「iOS インストゥルメンテーションのカスタマイズ」を参照してください。

EUMサーバーおよびデータベースの起動と停止

EUMサーバーはWindowsサービスとして自動的にインストールされます。ローカルサービスダイアログを使用して、このサービスにどのように実行させるかを管理できます。

EUMサーバーの起動と停止

EUM サーバーを起動または停止する前に、次の手順を実行します。

  1. orcha.properties が次の JRE の場所に存在することを確認します。

     REMOTE_JAVA_HOME=<YOU EUM HOME PATH>/jre.
    CODE
  2. orcha-manager ファイルに DEFAULT_JVM_OPTS を追加します。

    DEFAULT_JVM_OPTS="--add-opens=java.base/java.lang=ALL-UNNAMED --add-opens=java.base/java.time=ALL-UNNAMED --add-opens=java.base/jdk.internal.misc=ALL-UNNAMED --add-opens=java.base/sun.nio.ch=ALL-UNNAMED --add-opens=java.base/java.io=ALL-UNNAMED --add-opens=java.base/java.nio=ALL-UNNAMED --add-opens=java.base/java.util=ALL-UNNAMED"
    CODE
  3. 次のファイルの場所を確認します。

    ファイル(File)パス
    orcha.properties
     <EUM-PATH>/orcha/orcha-manager/conf
    CODE
    orcha-manager
    <EUM-PATH>/orcha/orcha-manager/bin
    CODE

Linux の場合、次のように EUM ホームの eum-processor ディレクトリから EUM サーバーを起動します。

bin/eum.sh start

デモ環境の場合は、コマンドを sudo として実行します。 

WindowsでEUMサーバーを手動で起動する必要がある場合は、以下を実行します。

bin\eum-processor.bat start

ブラウザで http://<hostname>:7001/eumaggregator/ping にアクセスすることで、サーバーが実行中でアクセス可能かを確認できます。ブラウザに次のように表示されます。ping.

EUM サーバーを停止するには、stop コマンドを eum スクリプトに渡します。たとえば、Linux では、eum-processor ディレクトリから次を実行します。

bin/eum.sh stop

EUMデータベースの起動と停止もできます。Windowsの場合はWindows Servicesから行えます。

EUM MySQLデータベースの起動と停止

Linux で MySQL を起動するには、<EUM>/orcha/orcha-manager/bin ディレクトリに移動してから次を実行します。

./orcha-manager -d mysql.groovy -p ../../playbooks/mysql-orcha/start-mysql.orcha -o ../conf/orcha.properties -c local

LinuxでMySQLを停止するには、以下を実行します。

./orcha-manager -d mysql.groovy -p ../../playbooks/mysql-orcha/stop-mysql.orcha -o ../conf/orcha.properties -c local