On this page:

Related pages:

 

しきい値とは、許容可能または正常なビジネス トランザクション パフォーマンスの境界のことです。AppDynamics では、すべてのビジネストランザクションのパフォーマンスを比較するデフォルトのしきい値を提供しています。各トランザクションは、ユーザエクスペリエンスと呼ばれる、正常、遅い、非常に遅い、停滞、エラーのトランザクションに分類されます。

ユーザーエクスペリエンスは、ビジネストランザクションの通常のパフォーマンスに対するトランザクションインスタンスのパフォーマンスを反映しています。AppDynamicsでは、既存のトラフィックフローに基づく知的な推測や計算を行い、デフォルトのユーザーエクスペリエンスプロファイルを確立します。

使用環境の要件に合う分類が適用されるよう、以下の説明を参考に基準を絞り込むことができます。

トランザクションが遅延、非常に遅い、停滞、またはエラーと表示される基準

トランザクションが開始するとすぐに、そのトランザクションを表す特定のスレッドにより停滞がモニタリングされます。実行中のトランザクションは 5 秒ごとに評価され、停滞のしきい値を満たすかどうかが評価されます。

トランザクションの実行が停滞のしきい値より前に完了すると、実行時間はまず「非常に遅い」しきい値と、次に「遅い」のしきい値と比較され、その結果が記録されます。

トランザクションが停滞のしきい値に達した場合(過去 2 時間の平均値または停滞設定しきい値と 300 以上の偏差がある場合)は、停滞トランザクションイベントが生成されます。トランザクションが最終的に正常に終了した場合もタイムアウトとなった場合も、パフォーマンスモニタリングの観点においては停滞とみなされます。  

静的および動的しきい値

しきい値は、静的または動的の値に基づいて設定できます。動的しきい値は、直近の一定時間のパフォーマンスに基づいて設定され、デフォルトでは過去 2 時間です。動的しきい値は % 偏差または標準偏差を用いて設定します。

この移動する時間枠でのトランザクションの比較方法を理解するには、午前11:00から午後1:00までの2時間の移動平均時間枠を例にとってみましょう。午後1:00から1:01に発生するすべてのトランザクションは、この時間枠の応答時間および標準偏差と比較して測定されます。次の1分間、1:01から1:02までは、時間枠が午前11:01から午後1:01へ移動します。移動平均自体は指数移動平均式に基づいて計算されます。 

注:

  • 負荷のない時間帯のデータはカウントされません。
  • データは、ビジネストランザクションを開始するティアの各ノードにてローカルで保持されます。コントローラはこれら一切のデータを保持しません。

乖離率しきい値

乖離率は、特定の間隔におけるリクエストの移動平均に基づくしきい値を意味します。デフォルトの間隔は 2 時間です。過去 2 時間における平均応答時間が X ミリ秒であった場合、およびリクエストに X ミリ秒の乖離率がある場合、トランザクションはしきい値に違反したことになります。

たとえば、トランザクションが午前10:00:01に発生したとします。8:00:00 から 10:00:00 までの平均リクエスト処理時間は 100 ミリ秒であり、遅延と判断されるしきい値はしきい値の 20% オーバーであるとします。トランザクションに120ミリ秒かかった場合、トランザクションは遅延であると判断されます。

標準偏差しきい値

標準偏差は、一定の間隔における移動平均に基づいてしきい値を定義します。デフォルトの間隔は 2 時間です。つまり、過去 2 時間における平均応答時間が X ミリ秒であり、リクエスト処理の標準偏差が X ミリ秒以上の場合は、しきい値に違反することを意味します。

標準偏差のしきい値の仕組みを理解するため、平均移動時間が1500ミリ秒、標準偏差が100ミリ秒の移動平均を例にとってみましょう。次の例のようにしきい値を3と設定した場合、しきい値は標準偏差の3倍であることを意味します。つまり、トランザクションの処理時間が1500+(3x100)、あるいは1800ミリ秒を超える場合しきい値に違反することになります。

また、しきい値を静的な値または平均の割合に設定することもできます。 

停滞検出を無効にすることもできます。停滞検出を無効にすると、停滞とみなされるトランザクションが完了した場合「非常に遅い」と報告されます。完了しない場合は、未完のトランザクションとして何も報告されません。

しきい値の構成

[Configuration] > [Slow Transaction Thresholds] で、しきい値を構成することができます。そのためには、Configure Business Transaction アプリケーション権限が必要です。

しきい値は、アプリケーションやビジネストランザクション(バックグラウンド タスク トランザクションを含む)のさまざまなレベルに適用されます。診断セッションのしきい値を構成することも可能です。

しきい値を構成するエンティティタイプに応じて、ユーザトランザクション(通常のビジネストランザクション)またはバックグラウンド トランザクション タブのしきい値を指定できます。

ブラウザのリアルユーザーモニタリング (RUM)のしきい値は、別途構成します。これらのしきい値の詳細については、「ブラウザ RUM パフォーマンスしきい値の構成」を参照してください。

遅い、非常に遅い、および停滞のトランザクションのしきい値を設定できます。トランザクションがしきい値を超えると、AppDynamicsはスナップショットの取得を開始します。通常、パフォーマンスが正常範囲内である場合はスナップショットが取得されないため、スナップショットにはトランザクションの完全なコールグラフが含まれない可能性があります。