このページには、コントローラによって保存されたデータに対するオンプレミスと SaaS でのデフォルトデータ保持期間と、オンプレミスの値を変更する場合の手順が表示されます。AppDynamics では SaaS コントローラによる展開を管理しているため、手動で変更する必要はありません。 

コントローラによって格納される情報

コントローラは、構成データ、イベントデータ、トランザクション スナップショット、メトリックデータ、インシデントデータ(ポリシー違反や非常に遅いトランザクションなど)をデータベースに格納します。格納されるデータの量とそれによって消費されるディスク容量は、データ保持設定で管理できます。  

これらの保持設定は、管理コンソールのオンプレミス展開で調整できます。たとえば、スナップショット保持設定(snapshots.retention.period)および時間単位のメトリック保持設定(metrics.retention.period)を低くすると、ディスク消費を大幅に削減できます。

はじめに

インシデント、イベントデータ、およびトランザクション スナップショットの設定の保持期間を長くすると、コントローラのパフォーマンスやディスク消費に大きな影響が出ます。変更した設定をロールバックする必要がある場合は、デフォルト値を編集する前に、現在の保持設定を記録しておくことをお勧めします。

これらの設定を変更する場合は注意が必要です。たとえば、metrics.min.retention.period のデフォルト値を半分にすると、1 分単位の精度でメトリックを維持するために必要なディスク領域が半分になります。ただし、デフォルトの値を倍増させると、同じタイプのメトリックにより消費されるディスク容量も倍になります。   

管理コンソールでは、現在のマシンの実際のキャパシティに関係なく、理論上の制限に基づいてメトリック保持設定の入力フィールドに許容値が設定されます。特定の展開において、設定の実際の制限は、コントローラで使用可能なハードウェアリソース、アプリケーション アクティビティ、使用している機能、およびその他の要因によって異なります。 

コントローラマシンのサイジングのガイドラインでは、保持設定にデフォルト値が使用されていることを前提としています。したがって、デフォルト値を大きくすると、これらのガイドラインに基づいた前提が影響を受ける可能性があります。UI によって許可されている値の範囲内であっても保持設定を高くすると、パフォーマンスに悪影響が生じたり、ディスク容量が枯渇したりする可能性があります。 

AppDynamics では、これらの設定のいずれかをデフォルトから変更する場合は慎重にシステムをモニタし、必要に応じて変更をロールバックできるように準備することを推奨しています。

保持設定の変更

イベント、スナップショット、およびインシデントデータのデフォルトの保持期間を変更できます。

保持設定の変更は、大きな影響を与える可能性があります。「開始する前に」を参照してください。

イベント、スナップショット、およびインシデントデータの保持期間を変更するには、次の手順を実行します。

  1. root アカウントのパスワードを使用して管理コンソールにログインします。コントローラがシングルまたはマルチテナントモードでインストールされている場合は、root ユーザパスワードを使用して管理コンソールにアクセスします。このパスワードはインストール中に設定するものです。詳細については、管理コンソールへのアクセスを参照してください。

    http://<controller-installer-host>:<port>/controller/admin.jsp
  2. [Controller Settings] をクリックします。

保持期間の設定

インシデント、イベントデータ、トランザクション スナップショットのデータ保持期間は、次のパラメータによって決まります。

プロパティ名

プロパティについて

デフォルト

events.retention.periodイベントの保持期間を時間単位で指定。2 週間
snapshots.retention.periodトランザクションスナップショットデータの保持時間を時間単位で指定。2 週間
incidents.retention.periodポリシー違反や非常に遅いトランザクションを含むインシデントのデータ保持時間を時間単位で指定。2 週間

データ保持期間の値を低くすると、新しいデータ保持期間の範囲外になるデータベース内のデータは破棄されます。結果として、変更後 30 ~ 60 分の間にデータベースのサイズが小さくなります。小さくならない場合は、「コントローラデータベースの増加問題に対するトラブルシューティング」を参照してください。  

メトリックデータ保持期間の変更

デフォルトのメトリックデータ保持期間は変更できます。データが保持される期間を 1 分、10 分、1 時間の精度で制御します。詳細については、経時的なメトリックデータの精度を参照してください。

メトリックデータの保持期間を変更する前に注意すべき重要な点を、以下にいくつか示します。

メトリックデータの保持期間を長く設定すると、データベースのサイズやコントローラのパフォーマンスに即座に深刻な影響を与える可能性があります。

  • 10分または1時間のデータしかない期間に発生した問題の詳細を確認する必要がある場合、AppDynamicsではグラフ上に表示するより詳細なレベルの診断データへのアクセスを提供するため、デフォルトの保持期間を増加する必要はあまりありません。
  • コントローラのデータベースに保持されるデータにはメトリック保持期間が適用されますが、コントローラ UI に表示される一部のデータ(特に、ティアやアプリケーションのダッシュボードに表示される 1 分および 10 分の粒度のデータ)は、データベースからではなくコントローラのキャッシュから抽出されます。保持期間全体に 1 分および 10 分のメトリック保持期間を設定していて、それがキャッシュ保持期間を超えている場合、コントローラ UI のパフォーマンスに悪影響が及ぼされます。これは、コントローラでキャッシュからではなくデータベースからデータを取得する必要があるためです。キャッシュ保持期間は caches.retention.period 設定で決定され、管理コンソールで変更できます。 
  • コントローラ設定のデータ保持期間を変更しても、コントローラ UI で時間範囲として表示される値には影響しません。 

データ保持期間の変更

メトリックのデータ保持期間を変更するには、次の手順を実行します。

  1. 管理コンソールにログインします。 

  2. [Controller Settings] をクリックします。
  3. 以下の設定値を変更してデータ保持期間を変更します。

    プロパティ名

    プロパティについて

    デフォルト

    appdynamics.controller.sim.purge.machine.using.metricメタデータの情報のみを使用したパージを有効にします。このメソッドでのパージは、メトリックデータを使用しません。false

    metrics.min.retention.period

    1 分のデータが保持される時間数。この値は、metrics.ten.min.retention.period の値よりも常に小さくする必要があります。このプロパティは、タイムスケール以外の環境では異なることに注意してください。

    4 時間

    metrics.ten.min.retention.period

    10 分のデータが保持される時間数。この値は、常に metrics.min.retention.period の値より大きく、metrics.retention.period より小さくする必要があります。

    48 時間

    metrics.retention.period

    1 時間のデータが保持される日数。この値は、metrics.ten.min.retention.period の値よりも常に大きくする必要があります。

    365日

    purger.bts.shortlived.expected.baseline1 回のパージ試行でパージされる予定の短期ビジネストランザクションの数。100
    purger.metrics.shortlived.expected.baseline短期メトリックパージャーがパージを試行するたびにパージされる予定のエンティティの数。1000
    shortlived.metric.purger.time.interval.in.min古くなった短期メトリック用パージャーのタイマー式タスクが実行される間隔の頻度(分単位)。30
    shortlived.metric.purging.enabled短期メトリックパージャーを有効にします。true に設定すると、短期メトリックパージャーのタイマー式タスクによって、古くなった短期メトリックがすべてパージされます。たとえば、コンテナメトリックなどです。true
    shortlived.stale.metric.duration.in.hours1時間単位でのデータの期間。この期間データをレポートしていないメトリックは古いと見なされます。2
  4. [Save] をクリックします。

たとえば、metrics.min.retention.period プロパティを 3 に変更すると、3 時間以下のすべての時間範囲について表示されるメトリックデータが、1 分の精度で表示されます。3 時間以上 metrics.ten.min.retention 未満の時間範囲のメトリックデータは 10 分の精度で表示され、過去の時間範囲のメトリックデータは 1 時間の精度で表示されます。

他には、たとえば metrics.ten.min.retention を 72 に変更すると、72 時間(3 日)以下かつ min.retention.period 以上のすべての時間範囲が 10 分の精度で表示されます。

コントローラデータベースの増加問題に対するトラブルシューティング

データ保持設定を変更してもシステムのデータベースの増加率が改善されない場合は、まず構成の変更後コントローラの再起動を行っているかを確認してください。

サポートチームと協力してトラブルシューティングを行う場合は、問題の説明とともに、データディレクトリのリストを提供してください。リストを生成するには、コントローラマシンで以下のコマンドを実行します。

ls <Controller_Home>/db/data/controller/ -lS > controller.output

このコマンドにより、controller.output ファイルに出力が書き込まれます。このファイルをサポートチケットに添付してください。 

SaaS コントローラの制限は、オンプレミスコントローラの制限とは異なります。SaaS コントローラに適用されるデータ保持設定については、アカウントの条件を参照してください。

データ保持設定

以下のプロパティは、SaaS コントローラのイベント、スナップショット、およびインシデントデータのデフォルトの保持期間です。

プロパティ名プロパティについてデフォルト
events.retention.periodイベントの保持期間を時間単位で指定。2 週間
snapshots.retention.periodトランザクションスナップショットデータの保持時間を時間単位で指定。2 週間
incidents.retention.periodポリシー違反や非常に遅いトランザクションを含むインシデントのデータ保持時間を時間単位で指定。2 週間

メトリックデータの保持期間

次のプロパティは、SaaS 展開を行うメトリックデータのデフォルトの保持期間です。

プロパティ名

プロパティについて

デフォルト

appdynamics.controller.sim.purge.machine.using.metricメタデータの情報のみを使用したパージを有効にします。このメソッドでのパージは、メトリックデータを使用しません。false

metrics.min.retention.period

1 分のデータが保持される時間数。

8 日間

metrics.retention.period

1 時間のデータが保持される日数。

365日

purger.bts.shortlived.expected.baseline1 回のパージ試行でパージされる予定の短期ビジネストランザクションの数。100
purger.metrics.shortlived.expected.baseline短期メトリックパージャーがパージを試行するたびにパージされる予定のエンティティの数。1000
shortlived.metric.purger.time.interval.in.min古くなった短期メトリック用パージャーのタイマー式タスクが実行される間隔(分単位)。30
shortlived.metric.purging.enabled短期メトリックパージャーを有効にします。trueに設定すると、短期メトリックパージャーのタイマー式タスクによって、古くなった短期メトリックがすべてパージされます。たとえば、コンテナメトリックなどです。true
shortlived.stale.metric.duration.in.hoursメトリックがデータを報告せずに古いと見なされる期間(時間単位)。2